研究テーマ | Research theme

長崎大学海洋微生物抽出物ライブラリーの構築と創薬への応用

Construction of Nagasaki University Marine Microbial Extract (NU-MME) library and its application to drug discovery

研究者 | Researcher

武田 弘資

Takeda Kohsuke
生命医科学域(薬学系)
教 授

Websiteresearchmap


研究概要 | Research summary

近年,新しい世代の薬として抗体などの生物製剤が注目されていますが,非常に高価であることが問題となっているため,従来通りの化合物が今後も薬として重要であることに変わりはありません。しかし,これまでに製薬企業を中心に人の手でつくられた合成化合物には物理化学的な多様性が限られているという欠点がありました。そのため地球上に存在するさまざまな天然化合物があらためて注目されています。私たちは長崎県の豊富な海洋資源に着目し,県内各地より収集した海洋微生物の抽出物を創薬スクリーニングに用いることができるようにライブラリー化し,その中から新たな薬となる天然化合物を見出すことを目指しています。

Biologics, such as antiboides, have recently been attracting a great deal of attention as new generation drugs; however, conventional low molecular compounds are still important, particularly in terms of drug prices. As a source of such compounds, natural compounds are refocused because artificially made compounds have limitations in their diversity of physiological and chemical properties. Therefore, we are constructing a library of extracts from various marine microbes collected from Nagasaki Prefecture and aim to utilize it for drug discovery.


特色・研究成果・今後の展望

県内各地から収集してきた様々な海洋動物や海藻などのサンプルを細断し,海水寒天培地上に静置しておくことで,それらに付着したり,共生したりしている様々な微生物を比較的容易に単離することができます。それらをさらに液体培養し,様々な天然化合物を含み,かつ創薬スクリーニングに適した性状になるように抽出物を調製します。長崎大学では,過去2度にわたって県内で海洋微生物の大規模なサンプリングを行い,1万8千種類を越える微生物を単離し,保存しています。その保存株を順次,再培養して抽出物を調製するとともに,本学海洋未来イノベーション機構や水産・環境科学総合研究科などの協力の下,新たな微生物の収集活動も行っています。現在、20以上の課題で本ライブラリーを用いた創薬スクリーニングが進行中で,様々な疾患に対する治療薬となる可能性のある化合物の探索を続けています。


社会実装への展望

現在,AMED BINDS事業(https://www.binds.jp)を介して,本ライブラリーを用いた創薬スクリーニング支援を行っています。詳しくは下記をご参照ください。
https://www.binds.jp/supports/view/42