肺炎球菌は肺炎の代表的な原因菌であり，肺炎球菌肺炎は未だ重症化することが少なくない重要な疾患です。当研究室では，肺炎球菌肺炎における自然免疫応答を解明し，さらにそれがヒトにおける肺炎の重症度とどのように関係しているかを解明する研究を行っています。
Pneumococcus is a leading cause of community-aacquired pneumonia, and it still causes severe infection to human. Our research aims to elucidate innate immunity response during pneumococcal pneumonia, and its significance on the severity of pneumonia.
自然免疫細胞であるマクロファージのシグナル分子を標的とし，そのシグナルを測定できる遺伝子導入マクロファージを用いています。ヒトから分離した肺炎球菌を用いて，それぞれの菌株のマクロファージを刺激するシグナルの強さと，ヒトでの肺炎球菌肺炎の重症度との関連性を解析しています。肺炎球菌の莢膜型や膜透過性によって，マクロファージシグナル刺激の強さが異なることがわかり，そのシグナル強度と肺炎の重症度スコアとの間に密接な関連性が認められました。同時にマウス感染モデルにおいて，マクロファージシグナル刺激の強さが異なる肺炎球菌によって作成した肺炎において，重症型の侵襲性肺炎球菌感染症を引き起こすメカニズムの解明に取り組んでいます。
本研究が将来的に自然免疫に着目した肺細菌感染症の新しい臨床検査の開発，治療決定因子，予後予測因子，ひいては新しい免疫治療に繋がる可能性が期待されます。