非小細胞肺癌は肺癌の約8割を占め,進行期で発見されることが少なくありません。また,肺がんによる胸水貯留は進行期の非小細胞肺癌でしばしば認められ,化学療法の薬物動態に影響したり呼吸困難を引き起こしたりします。抗がん剤に反応しないことも多いですが,血管新生阻害薬が有効との報告もあり,ラムシルマブという血管新生阻害薬が,がんによる胸水に効果があるのかを臨床試験で検証しています。また,効果のバイオマーカーについても検討を行っています。
Many non small cell lung cancer (NSCLC) patients had malignant pleural effusion. Pleural effsuion often induces dyspnea and abnormaly of the pharmakokinetics of anti-cancer drugs. There are several reports about the efficacy of angiogenesis inhibitor in treating NSCLC with pleural effusion. We are evaluatimng the pleural effusion control of ramucirumab (one of the angiogenesis inhibitors) in combination with docetaxel for previously treated NSCLC patients with malignant pleural effusion. We analysis the biomarker of anti-angiogenesis treatment.
非小細胞肺癌における胸水に関する研究は,大規模臨床試験が少なくエビデンスの観点からは不十分な分野です。ドセタキセルに血管新生阻害剤のラムシルマブを併用する治療は,肺癌の2次ないし3次治療における標準的な治療の1つですが,他にも選択できる薬剤があります。胸水貯留症例に対して血管新生阻害薬が有効であるという医学的根拠が確立すれば,個別化医療の観点からも有用と考えられます。私たちは胸水貯留症例に特化した臨床試験を実施しており,併せて効果の指標となるバイオマーカーについても検討を行っています。
本研究によって,血管新生阻害薬が,がんによる胸水の治療に有効である科学的根拠を確立することを目指しています。