研究テーマ | Research theme

長崎県の地域特性を生かしたアカデミア創薬システムの構築

Development of an academic drug discovery system harnessing regional characteristics in Nagasaki Prefecture

研究者 | Researcher

田中 義正

Tanaka Yoshimasa
先端創薬イノベーションセンター
センター長・教授

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研究概要 | Research summary

長崎大学先端創薬イノベーションセンターでは,がん,自己免疫疾患,感染症,放射線障害などの治療薬の創成を目指しています。これまでに,日本全国の大学や国研とネットワークを組み,長崎大学に設置したハイスループットスクリーニグシステムや抗体産生システムを利用した創薬を行っています。創薬のプラットフォームとしては,感染症治療薬創成のために,海洋微生物抽出物ライブラリーや抗体産生システムを構築しています。これまでに,2万種以上の海洋微生物を収集してライブラリーを作成し,抗体に関しては,細胞膜透過性やBBB透過性を有するナノボディ抗体作成のために,サメの免疫実験システムを構築しています。

Nagasaki University Center for Medical Innovation focuses on the development of therapeutic interventions for cancer, autoimmune diseases, infections and radiation-induced damage. We have established networks with many universities and institutions from all over Japan to promote the most efficient utilization of our facility equipped with a versatile high throughput screening system and an antibody-producing system. For the development of small-molecule drugs for neglected tropical diseases and indigenous diseases, we have been attempting to establish a marine microbe extract library. So far, we have collected more than 20,000 marine microbes and validated the quality of the library. We are also trying to establish a system for preparing shark-derived nanobodies that can penetrate cell membranes and brain-blood barrier.


特色・研究成果・今後の展望

先端創薬イノベーションセンターでは,学内創薬シーズの発掘とその後のハイスループットスクリーニンを初めとする様々な創薬支援を行い,長崎大学発のアカデミア創薬の推進を図っています。また,共同研究ベースでの創薬の推進を図ることで,日本におけるアカデミア創薬の中心としての長崎大学の位置づけを確立することを目指しています。これまでに,学内および学外の創薬シーズの発掘と取り込み,アッセイ系の構築,ハイスループットスクリーニングの実施,ヒット化合物の最適化合成を行ってきました。そして,目的の薬効を示すと同時に,体内動態に優れ,毒性の低いリード化合物の創出を行い,医師主導型治験,企業導出を目指しています。低分子化合物創薬に関しては,長崎大学オリジナルの創薬ライブラリーの拡充が必須となりますが,そのためのシステム基盤構築を行っています。さらに,低分子化合物を中心とするこれまでの製薬企業主導の創薬とは異なり,アカデミアがその強みを活かして進めていける生物製剤創薬に力を注ぎ,主として,次世代抗体医薬として期待されるサメ由来ナノボディー抗体の作成技術を開発しています。


社会実装への展望

長崎大学先端創薬イノベーションセンターでは,長崎県の地域特性を生かした創薬に取り組んでいます。低分子創薬においては,長崎県近海から採取した海洋微生物を分離培養し,それらの抽出物を創薬ライブラリー化しています。また,次世代抗体医薬としてサメ由来ナノボディ―抗体の作成技術を開発しています。製薬会社や試薬会社と連携して,基礎研究や臨床開発に取り組みたいと考えています。