研究テーマ | Research theme

底生微小動物を指標とした水圏の生態系診断

Environmental diagnosis of organic matter loading on the basis of meiobenthic fauna

研究者 | Researcher

和田 実

Wada Minoru
総合生産科学域
水産・環境科学総合研究科
教 授

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研究概要 | Research summary

一般に水圏において富栄養化で水質が悪化すると植物プランクトンが異常発生しますが,その影響により内湾や湖沼などの底質(堆積物)の表面には,長期間にわたって植物プランクトン由来の有機物が高濃度に蓄積することが知られています。本研究では,水圏の堆積物に存在する微小な底生動物(メイオベントス)の組成を調べることで,その水圏生態系が物質循環の側面からみて,どのような状態にあるのかを簡便に診断する方法を開発します。

Eutrophication is known to be the main cause of the massive phytoplankton blooms in aquatic environments, leading to persistent organic matter accumulation on the surface sediment. We are currently studying the community structure of the meiobenthic fauna on coastal sediment that will help us diagnose the ecosystem integrity.


特色・研究成果・今後の展望

閉鎖性内湾の水質変化のうち,富栄養化は植物プランクトンの過度の増殖を招き,それは海底付近における溶存酸素の低下に直結します。そうした湾内環境への影響を評価する際,メイオベントスの組成,特に「カイアシ類と線虫の比」や「線虫の口器形態タイピング」などは,シンプルかつ鋭敏な指標を与えます。解析に必要な底質のサンプル量は,大型のベントス調査に要するものと比べおよそ10分の1以下とわずかです。投げ込み式の小規模採泥装置を活用することで,必要量を得ることができます。


社会実装への展望

海洋環境の状態把握,漁場診断などに役立ちます。

◎企業へのメッセージ
海洋環境のうち,人との関わりが大きい内湾域生態系の中・長期的なモニタリングに適した指標を与えてくれます。