研究テーマ ｜ Research theme
水産食品加工廃棄物中のタンパク質分解酵素の有効利用
Utilization of Proteases from Seafood Processing Waste
研究者 ｜ Researcher
研究概要 ｜ Research summary
これまでに私共は，水産食品加工の工程において大量に廃棄される魚の内臓や洗浄廃液などから「タンパク質分解酵素」を取り出してその性状を解析することで，他の産業に応用できないか研究を行ってきました。例えば，世界最大のまぐろ類缶詰生産国タイでは，製造工程中に原料魚の内臓が大量に廃棄されますが，魚の内臓に含まれるトリプシン（タンパク質分解に関わる消化酵素の一種）について，食品産業への応用（①やわらかい介護食の製造に利用，②リンゴジュースの酸化防止剤として利用），工業的応用（③洗濯用洗剤の成分として利用，④機能性成分の抽出剤として利用）などを検討しました。
We have studied on the characterization and utilization of protein-degrading enzyme "Protease" from seafood processing waste. For instance, tuna is served as an important raw material for the production of canned tuna and its viscera is usually recovered as a by-product in Thailand, which is the world's largest exporter of canned tuna. The utilization of tuna viscera for several industries is needed, and we found that the digestive enzyme such as trypsin can be used for some industrial applications as food processing, laundry detergent additive, extractant of bioactive compound, and so on.
特色・研究成果・今後の展望
【ツナ缶加工廃棄物中のタンパク質分解酵素に関する研究成果】
ツナ缶加工廃棄物であるビンナガの内臓（脾臓）から抽出した消化酵素トリプシンについて，介護食製造への応用、および洗濯用洗剤のタンパク質分解促進剤としての応用について検討したところ，以下の研究成果が得られました。
- ビンナガ由来トリプシンは，すりみペースト（介護食用素材）の製造において，苦味成分の増加を抑えながら，なめらかさを付与できることがわかりました。
＞＞ 介護食製造への応用が可能
- ビンナガ由来トリプシンを洗濯用洗剤に添加することで，タンパク質分解を促進することがわかりました。
＞＞ 洗濯用洗剤のタンパク質分解促進剤としての応用が可能
今後は，これらの研究成果やノウハウを，他の水産加工食品廃棄物中のタンパク質分解酵素の有効利用法の開発に活かすことができると考えています。
社会実装への展望
本研究により，水産食品加工廃棄物中のタンパク質分解酵素を，食品製造分野，洗濯用洗剤の技術開発などに応用できることがわかりました。他の食品加工廃棄物中に含まれるタンパク質分解酵素についても，同様の応用が期待できます。