ヒジキ,アカモクなどのホンダワラ属藻類の養殖に必要となる種苗生産法の開発を試みています。磯焼けによって藻場が減少するなかで,天然の種苗の確保が難しくなっているため,卵からの種苗生産できるようなシステムを構築することが目標です。ホンダワラ属藻類には,ノリやワカメのような糸状体世代がないため,幼藻体を長期にわたって管理する必要がありますが,実用化のためには,なるべくコストのかからない方法が必要です。種苗を健全な状態で育成,維持するためには,どの要因が重要であるか検討しています。
We are challenging the production of the seedlings of Sargassum horneri and Sargassum fusiforme for mariculture. The seedlings of Sargassum are recently lacking because of “Isoyake”, so that we need to collect the mature thalli in the shores to obtain the eggs, which are the starting material for mariculture. The culture and maintenance of the seedlings of Sargassum confront us with various difficulties such as a contamination by other algae. However, we should lower the cost of production for practical use. It is one of the most difficulties in our challenging.
卵からの種苗生産を成功させるには,(1)卵の採取と受精法,(2)ロープ等への卵の着生法,(3)種苗の中間育成法という3つの課題を解決する必要がありますが,(1)と(2)の課題については,これまでの研究によって,実用可能な状況にまで工夫を重ねてきました。しかし,(3)の課題については,成功例はあるものの,まだ,安定した技術には至っていません。現在,種苗の中間育成に影響する要因について,さまざまな検討を行っています。
将来を想像すれば,アカモクやヒジキなどの種苗を漁師さんたちだけで育成,管理するというのは,かなり難しいのではないかと推測しています。収穫,加工,販売を含めた事業の一環として,種苗生産を位置づけることで産業として成立させることを考える必要があり,そのためには,海藻や藻場に関心のある企業の方々と漁師さんたちが協同しながら事業を進めるのが現実的だと考えています。