研究テーマ ｜ Research theme
エアロゾルデポジションによるハイドロキシアパタイト表面へのセラミックコーティング
Ceramic coating on hydroxyapatite using aerosoldeposition
研究者 ｜ Researcher
研究概要 ｜ Research summary
歯や骨の主成分でもあるハイドロキシアパタイトの表面に，エアロゾルデポジション(AD)法によって，加熱することなく，透明なアルミナ膜を形成できることが明らかになりました。
製膜されるアルミナ層の厚みは7〜10 µmです。
製膜された部分の硬度と耐酸性は製膜前のハイドロキシアパタイトよりも向上します。
We have revealed that a transparent aluminum oxide layer can be created on hydroxyapatite by means of aerosol deposition without inducing a localized temperature rise.
The thickness of the deposited aluminum oxide layer is 7-10 µm.
The hardness and acid resistance of the deposited area is significantly higher than that of the no deposited control.
特色・研究成果・今後の展望
- AD法は産業技術総合研究所とTOTOの共同で開発された製膜技術で，全工程を室温で行えるため，金属やセラミック材料だけでなく，熱に弱い樹脂であっても任意のセラミック膜が形成可能といった特徴があります。
- ハイドロキシアパタイト試料表面に衝突したサブミクロンのアルミナ微粒子が砕けてターゲット試料と結合し，さらに微粒子同士も結合する常温衝撃固化現象によって，緻密なアルミナ膜が形成されると考えられています。
- 気圧等をコントロールしたAD装置の中で製膜処理が行われます。
- 令和元年度公益社団法人日本補綴歯科学会九州支部学術大会で本研究を発表しました。
- 歯科用コンポジットレジンの表面にアルミナ層を製膜することにも成功しています。
AD法によって製膜したハイドロキシアパタイト試料断面のSEM像
社会実装への展望
本研究により，歯の修復材料や人工関節など，生体材料分野の技術開発への応用が期待されます。
AD法による表面改質によって，母材の特性を損なうことなく，耐酸性，耐摩耗性，防汚性の改善が可能です。