高齢社会が進むに従って,骨粗鬆症や歯槽骨の吸収によって咀嚼障害に苦しむ患者が増えています。骨組織を再生するためには自家骨移植が行われていますが,採取の侵襲や採取量の問題があり,人工骨が開発されています。この人工骨に生理活性を持つ蛋白質をを添加し,骨誘導能を持つ人工骨が期待されていますが,蛋白質の応用には副作用や生産管理の問題があります。そこで私たちは生理活性を持つ遺伝子を組み込んだ人工骨を開発し,これらの問題点を克服しています。
There are increasing number of patients who suffered from osteoporosis and masticatory disturbance due to alveolar bone resorption in a aged society. Autogenous bone graft is gold standard to regenerate bone but it has impediments such as limited availability and harvesting morbidity. Then, development of artificial bone substitutes with bone inductive activity is expected. We have developed bone substitute utilizing genes encoding bone inductive activity.
現在,臨床応用されている人工骨は骨誘導能を有さないため,その骨形成能は限定的です。BMPなどの骨誘導蛋白質を応用する方法も開発されていますが,生理的な作用量,時間のコントロールが困難で,その副作用が問題になっています。私達の開発した遺伝子搭載ナノデバイスは,プラスミドDNAを移植材料に組み込み,移植床の細胞に取り込ませ,細胞による生理活性物質の生理的な分泌を促します。プラスミドDNAを単純に移植材料に組み込んだだけでは,細胞への取り込み効率が低いので,帯電ポリマーに搭載することによって,高効率に細胞に組み込むことが可能になりました。搭載遺伝子は,骨形成蛋白質の他,転写因子RunxIIやマイクロRNAが有効であることを確認しています。
全身の骨欠損再生に応用できます。
搭載遺伝子を変えることによって他の組織再瀬にも応用可能です。