研究テーマ | Research theme

有機ホウ素の反応特性を活かした新機能性材料創製

Development on Synthetic Methodologies of Functionalized Fine Chemicals Involving Specific Reactivity of Organoboranes

研究者 | Researcher

木村 正成

Kimura Masanari
総合生産科学域
工学研究科
教 授

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研究概要 | Research summary

有機ホウ素は酸素原子との親和性が高く,炭素原子とは共有結合を形成しやすいことから,他の有機金属化合物とは異なる特異な反応挙動を示します。本研究では,入手容易なアルキン,アルデヒド,有機ホウ素による選択的タンデム反応を活用し,新規官能基変換を開発しています。また,生成物は,生物活性を示し,医薬品や農薬等の中間体として注目されています。更に,環状ホウ素化合物を中間体とした発光材料の開発にも取り組み,癌細胞の可視化やホウ素中性子捕捉用薬剤等の高機能性医療材料として活用していきます。

We have developed the stereoselective formation of 2,5-dihydro-1,2-oxaborole from terminal alkynes, trialkylboranes, and aldehydes in the presence of Cu(I) catalyst under nitrogen atmosphere. The five membered oxaborole intermediates can be transformed to give a wide variety of three- or four substituted alkenes with excellent regio- and stereoselectivites and useful fine chmicals.
This project would cover the synthetic development of physiologically active molecules as well as luminescent materials in the area of Boron-Neutron Capture Therapy and Positron Emission Tomograpy.


特色・研究成果・今後の展望

環状ホウ素化合物であるオキサボロールは,アルキン,アルデヒド,有機ホウ素による選択的タンデム反応により,僅か一段階で合成できます。合成したオキサボロールを基幹中間体とする様々な官能基変換へ応用しています。特に,生物活性物質や発光性有機材料等の様々な用途で活用できます。本研究では主に発光性有機材料としての新しい機能を探求しています。
オキサボロールにアルキン構造が共役すると,青色に発光することが知られています。これまで含ホウ素発光化合物としてBODIPYが知られていますが,その前駆体である ジピロメテンの骨格は不安定であるため,代替手法が必要とされていました。本研究では,BODIPYに代わる新しい発光材料の開発を目指すと共に,ホウ素中性子捕捉療法の新しい薬剤を開発したいと思います。


社会実装への展望

放射性物質を用いない環状有機ホウ素化合物による癌細胞の可視化が期待できます。また,ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)薬剤として活用していきます。癌細胞の可視化とBNCT療法が同時に可能になる,画期的な機能性材料の開発を目指しています。