研究テーマ ｜ Research theme
革新的次世代磁石探索プロジェクト－「ナノ構造制御」と「合金組成探索」－
Project for next generation permanent magnets
- Investigation on nanostructure control and alloy composition -
研究者 ｜ Researcher
研究概要 ｜ Research summary
本プロジェクトでは，計算機シミュレーション，乾式・湿式ナノ構造創製技術を融合し，次世代革新的磁石創製に繋がる新技術の開発を通じて，資源問題の解決及びこの分野での国際競争力強化に寄与する成果を達成を目指しています。ここでは，PLD（Pulsed Laser Deposition)法を用い創製した「高保磁力永久磁石粉末」をボンド（有機樹脂）なしで固形化する方法に成功し，その磁石を用いて「世界最小ステッピングモータ」を実現した内容に関しご紹介します。
Through this project, we will combine computer simulations and dry / wet technologies for the preparation of nanostructure to develop next-generation permannet magnets. Furthermore, we will contribute to solving resource problems and strengthening international competitiveness in this field.
Here, we introduced the following two contentes; (1) We succeeded in consolidating permanent magnet powders using the PLD (Pulsed Laser Deposition) method without using bond (organic resin) (2) We could prepare the "world's smallest stepping motor" using the magnet.
特色・研究成果・今後の展望
電子機器への需要が高いステッピングモータ等の小型モータは，これまで主に用いられてきた工業分野と共に医療分野への応用（小型で低侵襲な胃カメラの位置制御等）も期待されており，更なる小型・軽量化が要求されています。市販の小型モータは，形状自由度の高い希土類系ボンド磁石を主に使用していますが，ボンド磁石は熱硬化性樹脂などの非磁性を含むため，残留磁気分極や(BH)maxといった磁気特性を向上させることは困難な状況にあります。仮に，非磁性成分を使用せず磁石粉末のみを固形した小型磁石既報の小型ステッピングモータ等に搭載できれば，モータの更なる高性能化が可能となります。本研究では，磁石粉末のみを高速で固化成形する手法として，高速PLD法を提案し，小型モータ用の磁石設計において，Nd-Fe-B系磁石に対する優位性（異方性磁界が大きいため高保磁力が期待される）を持つ超小型なPr-Fe-B系磁石の作製に成功しました。 その磁石を用い，外径3 mm以下の世界最小ステッピングモータを実現し，市販の外径6 mmのステッピングモータと同様な動作が可能である事を確認しました。（図1参照）
図1 世界最小ステッピングモータ（左図）
社会実装への展望
本研究で提案する超小型ステッピングモータは，既存より小さなディジタルカメラの位置制御システムへの応用が期待され，例えば，実現されていない「低侵襲な胃カメラ用の位置制御システム（現状は，手動での制御）」への応用が期待できます。小型磁石を用いたデバイス開発をされている企業様に限らず，永久磁石の利用やその特性評価等にご興味のある企業様は，是非，ご協力させていただければと考えております。