一般にアンテナは小型,薄型になると,周波数帯域幅,放射指向性,利得等のアンテナ特性は悪くなります。高速かつ安定した通信を行うためには,周波数帯域幅が広いこと,また放射指向性,偏波,利得がアプリケーションの仕様に沿うものでなければなりません。本研究では,アプリケーションに要求される特性を持つ,小型かつ薄型のアンテナ開発を行います。
Generally, as the geometry of the antennas becomes small or thin, the antenna characteristics, such as frequency bandwidth, radiation pattern, and gain, etc., become worse. In order to keep high speed and stable communication, it is desirable for the bandwidth to be as wide as possible. Moreover, the radiation pattern, polarization, and gain must satisfy the specifications of application. In this study, the small and planar antennas with high performance are designed.
写真1は小型広帯域円偏波用アンテナの設計例です。円偏波用アンテナはアンテナの設置自由度が高く,最近ではレーダー,センサネットワーク等,様々なアプリケーションへ適用されています。しかし,一般に円偏波用アンテナの設計は直線偏波用アンテナに比べ難しく,広帯域特性を持つ円偏波用アンテナはさほど多くはありません。提案アンテナの円偏波周波数帯域幅は2.5GHz〜3.5GHz (30%)と広く,アンテナの大きさは通常の円偏波用アンテナの1/4程度です。
写真2は小型かつ広帯域特性を持つ平面アンテナの設計例です。偏波は直線偏波になります。周波数帯域幅は2GHz~6GHz(100%)を有します。この周波数帯域は,Wi-FiおよびSub6-5Gの全周波数をカバーします。
写真3は写真2で示した小型・広帯域平面アンテナを2素子用い,MIMO用として設計した例です。2つのアンテナ間にクランク型素子とL字型素子を装荷することにより,広い周波数帯で2つのアンテナ間のアイソレーションを改善しています。MIMO化することにより,更に高速通信が可能になります。
レーダー,センサーネットワーク,Sub6-5G用アンテナとして利用できます。また,上記以外にも多周波共用アンテナ(いくつかのアプリケーションを同時に使用可能なアンテナ)の設計も行っています。