研究テーマ ｜ Research theme
築石構造物の力学的安定性評価
Evaluation of mechanical stability of stone structures
研究概要 ｜ Research summary
本研究では，城郭石垣を主体とした築石構造物の力学的安定性を多面的に評価する手法を検討しています。従来の経験則による文化財保護的観点ではなく，地盤工学的手法を用いた工学的観点より，城郭石垣の崩壊予測や崩壊に対する安全性評価を定量化することで，主に管理者や維持管理業者の方々が安全かつ効率的な判断が行えるよう支援する仕組みの構築を目指しています。
In this study, we are studying a method to evaluate the mechanical stability of stone structures mainly composed of castle walls. By quantifying the collapse prediction of the castle wall and the safety evaluation against the collapse from the viewpoint of engineering using the geotechnical technique, not the viewpoint of cultural property protection based on the conventional rules of thumb, it is mainly used by managers and maintenance managers. We are aiming to provide a system to support business operators in making safe and efficient decisions.
特色・研究成果・今後の展望
本研究では，以下の手法について，有効性の検証を行っています。
- 可搬型レーザースキャナーによる石垣表面形状計測結果に基づく変状進行調査
専門知識を要さず，管理者が変状進行が疑われる個所の表面形状を反復して計測することが期待されることから，その実用性について検証を行っています。 - 遠隔モニタリングシステムによる不安定石垣石の長期的挙動観測
地すべり等斜面崩壊の予兆を明らかにするために別途運用されている遠隔モニタリングシステムを不安定石垣石の長期的挙動観測に活用するため，現在熊本城内にて運用を行っており，その実用性について検証を行っています。（2018/1/1付西日本新聞に、本システムが紹介されました） - 個別要素法に基づく築石構造物のモデル化と力学的シミュレーション
主に地震力などの動的挙動に着目した力学的シミュレーションを行うため，個別要素法に基づく城郭石垣等の築石構造物のモデル化と安定性評価のための力学的シミュレーションを行っています。 これらはいずれも熊本城などの城郭石垣を対象として実施していますが，石橋など他の築石構造物にも適用可能です。
石垣表面形状計測の様子
遠隔モニタリングによる石垣石の挙動
力学的シミュレーション例
社会実装への展望
城郭石垣や石橋など，主に文化財として扱われる築石構造物を中心に，これらの技術の活用が見込まれます。