研究テーマ ｜ Research theme
稼働可能な架橋点をもつポリウレタンエラストマーの開発
Development of Polyurethane Elastomers with Slideable Crosslinks
研究概要 ｜ Research summary
複数の環状分子が線状ポリマーを取り込んだネックレス状の高分子，ポリロタキサンを架橋点とするポリウレタンエラストマーを開発しました。環状分子と線状ポリマーの間に共有結合がないため，ポリロタキサン上を環状分子は自由に並進運動できます。また，両末端に嵩高い基があるため，環状分子が抜け出ることがありません。このポリロタキサンを架橋点としたポリウレタンエラストマーは高い伸張性をもちます。また，室温から200℃付近までの幅広い温度領域で緩和現象を示すことが分かりました。
We have developed polyurethane elastomers crosslinked by polyrotaxanes, in which plural ring molecules are interlocked by a linear polymer with bulky terminal endcap groups that prevent the ring molecules from release. There are no covalent bonds between the ring molecules and the linear polymer; therefore, the ring molecules can slide freely along the linear polymer. The polyurethane elastomers possess high elongation property. A certain polyurethane elastomer shows relaxation behavior in the broad region from 20 to 200 °C.
特色・研究成果・今後の展望
- 長さおよび環状分子の数が異なるポリロタキサンを使ったポリウレタンエラストマーが合成できます。
- 異なるポリロタキサンを架橋点とすることで，ポリテトラメチレングリコ－ル2000から成るソフトセグメント部位の結晶性や運動性を帰ることができます。
- ある種のポリウレタンエラストマーは，室温から200℃付近までの幅広い温度領域で緩和現象を示します。
- 最大の伸びを示したポリウレタンエラストマー：破断伸び1662%，破断応力が7.2 MPa。
- 最大の破断応力を示したポリウレタンエラストマー：破断伸び1377%，破断応力が27.4 MPa。
- ポリロタキサンの性質が発現しやすいように，１つのシクロデキストリンから１つの架橋ができるように仕掛けを付与したポリロタキサンを開発中です。
- 本成果の一部は，第29回エラストマー討論会において，第23回CERI最優秀発表論文賞を受賞しました。
社会実装への展望
高伸張材料や衝撃緩和材料への応用などが期待できます。また，ソフトセグメントの構造を変えることができますので，プラスチック材料としても利用可能です。
企業への一言メッセージ
今後は，ポリロタキサンに限らず，幅広意味でのポリウレタンエラストマーの開発に取り組んで行く予定です。