研究テーマ | Research theme

レドックスイオン液体の開発と電子デバイスへの応用

Development and application of redox-active ionic liquids to electronic devices

研究者 | Researcher

田原 弘宣

Tahara Hironobu
総合生産科学域
工学研究科
助 教(研究代表者)

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相樂 隆正

Sagara Takamasa
総合生産科学領域
工学研究科
教授(共同研究者)

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村上 裕人

Murakami Hiroto
総合生産科学域
工学研究科
准教授(共同研究者)

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研究概要 | Research summary

レドックスイオン液体はイオン伝導性を示すため,溶媒や支持塩の添加なしで酸化還元による電流が流れる電気伝導性液体です。さらに,いくつかのレドックスイオン液体は酸化還元によって色が変わり,発色団としての濃度がとても高いため,高コントラストの液体のディスプレイ材料としても期待できます。私たちは,様々なレドックスイオン液体の開発を行い,その電子的な性質の研究と,それを電子デバイスへ応用する研究を行っています。

Redox-active ionic liquids show electric conduction by reversible redox reaction without solvents and supporting electrolytes. Because they show ionic conductivity. We have expected them as new display materials with sharp contrast due to the high concentration of the chromophores. Therefore, we have developed various redox-active ionic liquids and investigated the electric properties and the applications to electric devices.


特色・研究成果・今後の展望

【エレクトロクロミックデバイス(電気が流れて色が変わるデバイス)に関する研究】
図のような化学構造を持つレドックスイオン液体を合成しました。2つの透明電極の間にその液体を挟み,単純な構造のエレクトロクロミックデバイスを作製しました。このデバイスに0.7~1 Vの電圧をかけたところ,薄い黄色から青紫色に呈色しました。0 V と 1 Vの繰り返しで色が黄色と青紫色に可逆的に切り替わることを確認し,さらに1万回以上の切り替えを行ってもデバイスが劣化せずに動作することも確認することができました。このように,エレクトロクロミック特性をもつレドックスイオン液体を,耐久性の高い電子デバイスに活用する研究を展開しています。

【電子物性に関する研究】
レドックスイオン液体に電圧をかけて電流がどのようなメカニズムで流れるのかを研究しています。市販の装置では測定できないため,電気化学測定装置を自力で開発しています。レドックスイオン液体の電子物性を明らかにし,レドックスイオン液体の電子デバイスに応用できる可能性を模索しています。


社会実装への展望

レドックスイオン液体は高温定圧においても安定にイオン液体として存在する難揮発性物質ですので,揮発によって物質が失われることはありません。液体ですので物質としての柔軟性が高く,レドックスイオン液体を色剤や電子輸送物質としてフレキシブルな電子デバイスへ応用できないかどうかを模索中です。いつでも連絡を歓迎いたします。