研究テーマ ｜ Research theme
地球に優しい水素エネルギー社会を構築するために必要不可欠な高感度・高選択性水素センサ
Highly sensitive and selective hydrogen sensors responsible for sustainable hydrogen-energy society
研究者 ｜ Researcher
研究概要 ｜ Research summary
人類が自然と共存しながら地球上で未来永劫生活していくためには，可能な限りはやく既存エネルギーから脱却する必要があります。そのための１つの解決策が，水素エネルギー社会の構築です。私たちは，その水素エネルギーを安全・安心に，かつ高効率で利用するために必要不可欠な「水素センシング技術」に注目しています。「どのような環境下でも超微量から高濃度の水素を高選択的に定性・定量することができる高性能水素センサ」を開発することが究極の目標です。
We should break away from existing energy such as petroleum oil and coal, as soon as possible, to live on earth forever as well as to coexisting with nature and environment. One of the solutions is to realize "hydrogen-energy society". Thus, we have focued on state-of-the-art hydrogen-sensing technology essential in utilizing hydrogen energy efficiently in safety and security. Our ultimate goal is to develp high-performance sensors capable of detecting various concentrations of hydrogen sensitively and selectively under any gaseous atmospheres.
特色・研究成果・今後の展望
我々は，チタンなどの金属を陽極酸化することで得られる陽極酸化膜と貴金属（白金やパラジウム）電極を組み合わせたダイオード式ガスセンサ（図1(a)）を，高性能水素センサとして提案しています。このセンサは，①サブppm～数%の水素濃度に依存する特徴的な非直線的電流 (I)－電圧 (V) 特性（図1(b)）を示すこと（特に窒素中），②空気中よりも純窒素中において高い水素感度を示すこと，③作動温度を室温まで下げても十分応答すること，④他の可燃性ガスに対する応答は極めて小さいことから，水素選択性が高いこと，⑤湿度による影響は極めて少ないこと，など，一般的な半導体ガスセンサや接触燃焼式ガスセンサとは全く異なる魅力的な特性を示します。このような特性は，「貴金属表面における高効率で高選択的な水素分子の解離吸着能」と「それに伴う貴金属電極の仕事関数の大きな変化」に由来します。このダイオード式ガスセンサの構造をベースに，貴金属電極の表面や貴金属／酸化物インターフェースの構造や組成を最適化することで，さらなる高性能化を行っています。
図1 (a) ダイオード式ガスセンサの概略図と (b) I-V特性
社会実装への展望
本研究で得られる水素センサは，上述した水素エネルギー社会に「安全・安心」を提供するだけでなく，「高効率」な水素エネルギー循環システムを構築するための基幹デバイスとして利用することができます。さらに，既存のエネルギーシステムにおいても，爆発する危険性の高い水素のモニタリングは重要ですし，半導体製造プロセス分野や医療分野においても応用が期待されています。