研究テーマ | Research theme

磁場を持った分子雲におけるコア形成

Core formation in molecular clouds with magnetic fields

研究者 | Researcher

工藤 哲洋

Kudoh Takahiro
人文社会科学域
教育学部
教 授

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研究概要 | Research summary

星の誕生の母体となる密度の高いガスの塊の形成過程を研究しています。特に,そのガス塊の形成に磁場がどのような役割を果たしているのかを,主に電磁流体力学(MHD)の数値シミュレーションを用いて理論的に研究しています。星の形成に磁場が関係していることは知られています。しかし,磁場が具体的にどのような影響を与えているのかは,まだよくわかっていません。理論的な結果を積み重ねて,観測と比較できる特徴を探しています。

We study core formation in molecular clouds that have large-scale relatively strong magnetic fields. Although the large-scale magnetic fields are commonly observed in molecular clouds, their dynamical rule for the core formation is still uncertain. We perform magnetohydrodynamic (MHD) numerical simulations to find out the effect of the magnetic fields.


特色・研究成果・今後の展望

星の誕生の現場となる分子雲は,細長いフィラメント状の構造をしていることが観測からわかってきています。また,その細長い構造の軸に垂直な方向には,大きなスケールの磁場が観測されています。私たちは,そのような構造は磁場の強さに関わらず自らの重力のため不安定になり,密度の高い塊に分裂していくことを理論的に発見しました。一般的に,磁場はガスの分裂を阻害する働きがあります。しかし,ガスが細長いフィラメント構造をしている場合には,どんなに強い磁場でも分裂を阻害できないことが示されました。一方で,分裂したガスの塊は,ある程度強い磁場があるときは,磁場のために収縮できず,その中で星の形成が起こらないこともわかりました。そのようなガスの塊が収縮して星になるためには,ガス塊から磁場が拡散する必要があります。今後は,観測されているような細長いフィラメント状構造の形成過程をモデルに取り入れ,その分裂と分裂したガス塊の収縮までを,磁場と拡散を含めた一つのモデルで説明することを考えています。


社会実装への展望

星の誕生の過程を理解することは,私たちの起源を考えることにつながると思います。また,日常的には磁石としてなじみの深い磁場が,星の誕生にも関係していると考えることは楽しいです。