水生昆虫類(タガメ,コオイムシなどの水生半翅類,ゲンゴロウ類,カ科)を対象に生態学的な研究を行っています。野外での生活史や生態,行動に関する研究に加え,動物行動の観察教材化,在来の生態系に影響を及ぼす外来種の駆除法に関する研究も行っています。また、希少な水生昆虫類の実践的な保全活動も行っています。
I study about aquatic insects (aquatic Heteroptera, Coleoptera, Diptera) based on the ecological aspects. I focus on life history and ecology in their field, ethological study, behavioral observation for educational materials, and collecting methods for invasive alien species. In addition, I carry out the actual conservation active for rare aquatic insects.
里山の代表的な環境である水田や溜池などの止水環境に生息する水生昆虫(タガメやゲンゴロウ類)を研究対象としています。これらの水生昆虫は,経済活動に伴う開発や農耕者の担い手不足による水田や溜池の管理放棄,アメリカザリガニなどの外来種の蔓延により,個体数を減少させています。絶滅危惧種に指定される種が多く,その保全は急務の課題です。また,コオイムシ科昆虫は父親が卵保護を行う特異な習性があり,その進化的な背景を探る研究により,新たな行動や雌雄の関係など,父親による卵保護の進化にかかわる新たな仮説検証に取り組んでいます。さらに,島嶼の多い長崎は,同種であっても島ごとに独自の形質が進化しやすい環境です。最近ではゲンジボタルの明滅パターンが,五島列島では最も早く明滅することを発見しました。今後,長崎の島嶼の自然史に関する研究も行っていきたいと思います。
動物界の社会性進化の基盤となる知見の取得が期待できます。また,島嶼の自然史に関する研究では長崎県の生物多様性保全に貢献できます。
◎企業へのメッセージ
直接的な利益には結び付きにくい研究分野ですが,自然と調和した環境整備や保全エリアをどう造成するかなど,持続的な社会を構築する上で必要な生物多様性を保全する方法を提案できます。