研究テーマ | Research theme

気候変動の時代におけるエネルギー及びカーボンプライシング政策の経済と環境への影響に関する研究

Studies on economic and environmental impacts of energy and carbon pricing policies in the era of climate change

研究者 | Researcher

昔 宣希

Suk Sunhee
総合生産科学域
環境科学部
准教授

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研究概要 | Research summary

本研究者の主要研究分野は, 気候変動関連政策の経済及び環境における政策効果の分析であります。具体的には,日中韓及びEU地域の産業を対象にして,炭素価格政策(カーボンプライシング)への対応に関する実証研究を行い,各国の産業部門の炭素経営及び環境ビジネスの実態・展開を明らかにします。また,極東アジアの国(主に日中韓)を対象にして,2030年・2050年の温室効果ガス削減目標を達成するための政策 シナリオを作成し,中・長期的な経済及び環境への影響についてモデル分析を行います。本研究の結果,企業における炭素管理への提案,政府のさらなる気候変動政策に対する政策的含意を示します。

The main research field is to analyze the economic and environmental policy effects of climate change related policies. In details, it is to investigate the status and features of carbon management and expansion of environmental business on the response of carbon price policies in the industrial sector of targeted countries including China, Japan and South Korea and EU regions through empirical studies. In addition, for the countries of North East Asia (mainly China, Japan, and South Korea), based on policy scenarios to achieve the greenhouse gas reduction targets for 2030 or 2050, it is to conduct the model analysis on the economic and environmental impacts over the medium to long term. The results present suggestions for companies in strategizing carbon management as well as policy implications for governments in the region in further designing related policies.


特色・研究成果・今後の展望

気候変動への汎国家的努力が求められている今日において,各国は関連政策の導入を拡大・強化しています。例えば, 供給面では,クリーンエネルギーへのエネルギー大転換が図られており,同時に需要側(主に産業)の行動矯正のための市場メカニズムを用いた炭素価格政策(カーボンプライシング)が活用されています。 企業を対象とした実証研究では,このようは政策の変わり目における企業の対応戦略の特徴を明らかにしました。要するに,企業における既存の汚染低減・処理や主にCRSの一環とした行われていた環境(保全)経営が,炭素を汚染物質かつ価格が付与された資産として認識する上,炭素経営へ進化され,さらに,いくつかの会社においてはビジネスへと展開されていました。このような動きは,特に,炭素価格政策が導入され,炭素市場で実取引が行われている,つまり,炭素の市場価格が存在する国の企業において明確に見られて,彼らは炭素価格へ戦略的・ 積極的に(低炭素技術設備への投資,温室効果ガスの財務化など) 取り組んでいることが分かりました。 今後は,企業の炭素経営がグリーン産業・グリーン雇用に与える影響について分析し,グリーン成長の実現のための企業の役割・その効果について見通し,議論したいと思っています。


社会実装への展望

脱炭素社会に向けた気候変動政策及び炭素市場は,新しいものでありながら迅速に導入が進んでいます。本研究は,これに対応する企業の政策への観点と経営戦略について科学的分析の基にタイムリー な知見を提供します。

◎企業へのメッセージ
企業の持続可能な開発及び脱炭素社会に向けた経営方針・戦略について有効な情報になると思います。