核兵器の材料である,高濃縮ウランとプルトニウムの在庫量が増え続けています。中でも,プルトニウムは原子力発電の使用済み燃料から回収した民生用プルトニウムが増え続けており,この核物質の安全な管理と適切な処分に関する研究を行います。具体的には,(1)プルトニウムの国際管理の在り方,(2)プルトニウム処分に関する国際協力の在り方,(3)核物質を生産できるウラン濃縮・再処理技術の拡散防止対策,などがあげられます。
Stockpile of fissile materials, such as highly-enriched uranium(HEU)and separated plutonium, is increasing. In particular, plutonium stockpile is increasing due to reprocessing from civilian spent nuclear fuel. We conduct research on the following topics: (1)international management of plutonium (2)international cooperation for plutonium disposition (3)prevention of proliferation of uranium enrichment and reprocessing technologies which can produce fissile materials.
2017年末現在,世界の核物質在庫量は原爆換算にして10万8千発以上にまで増え続けています。ただ,核兵器の材料となる核物質のうち,高濃縮ウラン(HEU)の在庫量は徐々に減少しているものの,プルトニウムは増加し続けています。その大きな理由は,解体核兵器から回収されたプルトニウムの処分が遅れていることと,原子力発電所の使用済み燃料から再処理によって回収されるプルトニウムが増加し続けているからです。このプルトニウムが核兵器に転用されないよう,厳しい国際管理が必要であり,転用のリスクを減少するためには,在庫量を削減していくことが必要です。RECNAでは,毎年核物質の在庫量を発表してきています。また,国際核物質専門家パネル(IPFM)の共同議長として,国際的な研究活動を継続してきました。さらに昨年度までに、ジョージワシントン大学や笹川平和財団の研究プロジェクトにも参加して具体的な提言を行ってきました。今後も以下の3つの分野で研究を続けていきます。(1)プルトニウムの国際管理の在り方,(2)プルトニウム処分のための国際協力,(3)ウラン濃縮・再処理技術の拡散防止。
本研究により,核兵器の材料となる核物質の安全な管理,そのための国際管理の在り方,在庫量を削減していくための具体的方策や国際協力の在り方,そして,原子力民生利用で使われているウラン濃縮・再処理技術の拡散防止対策に貢献することが期待されます。