移植医療において臓器不足は喫緊の課題であり,移植可能な再生臓器を作成することは,人類の夢です。私たちは,肺再生,気管再生を最終目標とし,脱細胞化組織骨格を利用した組織および臓器再生研究を行っています。また,ラット組織骨格から創生した小型の再生臓器は,疾患モデルとして応用可能です。がんモデルなど,Ex vivoの新しい研究用材として開発中です。
Organ shortage is an urgent issue in organ transplantation. The fabrication of transplantable organs is one of the great challenges of modern medicine. We are investigating methods for tissue and organ engineering using decellularized scaffolds. Further, engineered small organs fabricated from rat scaffolds are useful as disease models. We are developing ex vivo research tools such as cancer models.
移植分野において臓器不足は重要な課題であり,再生医療による臓器創出の研究が全世界で精力的に進められています。私たちは日本国内で唯一,界面活性剤を用い,細胞外骨格を保持したまま細胞成分のみを除去した脱細胞化組織骨格を再細胞化する手法で,肺再生の研究を行っております。この肺再生技術が確立されれば,臓器不足の問題を解決するだけでなく,自己由来の細胞で再細胞化を行うことで,理論的には免疫原性の著しく低い移植治療が可能となります。
ラットモデルでは,血管内皮細胞とともに脂肪由来間葉系幹細胞(Adipogenic stromal cell; ADMSC)を脱細胞化肺に播種すると,ADMSCは周皮細胞(Pericyte)となって毛細血管周囲に留まり,移植後の出血を抑制しました(土肥らScientific Reports 2017)。
この現象を基礎として、移植後に出血の起こらない毛細血管の構築を行っていきます。もし血流が再生臓器内に流れるようになれば、臓器再生研究のブレークスルーになると考えられます。
血管の再構築は再生臓器研究の根本的な課題ですが,この解決を目指して研究を続けています。本研究は他臓器への応用も可能な技術です。また,再生肺を利用した疾患モデルも作成しています。今後のモデル作りに関しても,ご相談ください。
特願2018-233003 脱細胞化用界面活性剤 出願日:2018年12月12日
特願2019-014778 疾患モデル 出願日:2019年1月30日
国際出願番号: PCT/JP2020/003159 疾患モデル 出願日:2020年1月29日